僕が三重県で、サラリーマンをしていた頃の話。
取引先での商談を終え、僕は後輩と二人、駐車場の車に乗り込んだ。
夏の早い午後。
青い空。
照りつける日射し。
アスファルトには逃げ水が揺れている。
クーラーの効いた喫茶店でも行こうかとエンジンを掛けた時、
妙なものを見た。
200mほど先の民家から、白い布のような物が、フワリと舞い上がった。
それはフワフワと電柱の上まで漂い、更に上に流れたかと思うと、
突然、青空に吸い込まれるように姿を消した。
...え?
...何だ、今の?
助手席を向くと、狐につままれたような顔の後輩と目が合った。
「...女、だったよな」
「...女、でした」
<真夏ノ怪談>次回をお楽しみに。
怪談 ...怪しい話。
なんだか胸の奥がざわつくような、不思議な話。
灼けた道路に揺れる逃げ水のように、掴みどころのない出来事。
もちろん、怖い話もあるでしょう。
誰の日常にも起こるかもしれません。
さあ、もうひとつの短い夏を楽しみましょう。
旅好きの友人、T君の話。
ツーリングの途中、ある街のビジネスホテルに泊まった。
食事もそこそこにベッドに横になったが、何時間経ったろう、ふいに目が覚めた。
窓の外は、すでに真っ暗だ。
もう一度眠ろうと寝返りを打った時、ソレに気が付いた。
ベッドのそばに、誰かが立っている。
瞬時に状況を理解した。
うわぁ、来た!と思った。
案の定、ソレが身をかがめて、顔を近付けてくる。
見たくはないが、見てしまった。
女性。汚れた白いワンピース。無表情な目。
勘弁してくれ、と思った時、耳元でか細い声が聞こえた。
(...S君、どうして?)
「え?」
思わず声が出た。すると、相手の動きが止まった。
怖いけど、勇気を振り絞って言ってみた。
「あの...人違いじゃあ...」
目を丸くした女性が見えた。
あれ?ココはドコ?と言わんばかりに視線が泳ぎ、音もなく遠ざかると、
やがて、壁に吸い込まれるように姿を消した。
数分後-。
隣の部屋からだろうか、「悪かった!ゴメンナサイ!」という声が微かに聞こえた。
再び静寂に包まれた部屋で、T君は独り、呟いた。
「次は間違えないでくれたまえ」
そして、寝た。
<真夏ノ怪談>次回をお楽しみに。
異星人に捕まった私。
「よ、夜中に白いフクロウがっ...!」
(ミラ・ジョボビッチ怪演!フォース・カインド、観ました?)